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師 走

日本文芸大賞にノミネートされ,発表を待つ木戸孝之助を取り囲む、プリズンホテルのスタッフの面々。懲役52年を努めて放免された「しっぴんの弥市」と「楠堀留」の大ばくちなど、シリーズ最終編。大円団があなたを待っています。 短編集。やさしくも切ない愛の物語。偽装結婚をした中国人女性をふとしたことから愛してしまう表題作の他5編。短編はもの悲しく、エッセイは抱腹絶倒、物語は強烈な浅田ワールド。そのもの悲しいい作品集です。
「天切り」とは屋根の瓦をはずして忍び込む盗賊のことで、「松」は主人公の名。「闇語り」とは盗賊同士に聞こえる話し方だそうです。大正ロマンの薫り高い東京下町の盗賊たちの話。お奨め 明治の大怪盗「仕立屋銀次」の手下、目細の「安吉親分」、黄不動の「寅」、偽帝大生「書生常」、幻の前振り袖「おこん」、天切りの「松蔵」などの強盗、詐欺,窃盗、掏摸など鮮やかな手口の数々。盗みはすれど非道はせずの話後編8編。 中でも明治の元勲山県有朋の「金時計」を振り袖おこんが幻の前(掏摸)する話「一本槍の小輔」は涙・涙・の秀逸でした。