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私 の 本 棚

8月の読了

 幕末の会津藩主「松平容保(まつだいらかたもり)」は京都守護職に任命され、孝明天皇のあつい信認を受け、更に「天皇が頼りりに思うのは容保」と言う内容の天皇の手紙を片時も肌身離さぬほどでした。孝明天皇の突然の崩御により、容保はそのよりどころをなくしてしまいますが、将軍徳川慶喜の命によりやむなく守護職を続けます。鳥羽伏見の戦いで、徳川慶喜と共に江戸に逃れます。のちの明治幼帝を手中にした薩摩長州藩は、江戸城を無血開城させたあとも、会津藩を攻撃し、城明け渡しと、容保の首を要求。会津藩は戦わざるをえない状況が生まれます。偽の「勅書」により会津藩が朝敵とされたことが明らかにされています。会津藩の悲劇がここからはじまります。幕末の歴史に興味のある方にお奨め。(8/31)

会津藩はなぜ朝敵か

星  亮一 著
ベスト新書

\680


 文庫版発売に伴って読み返し。前回は第2章の山県有朋の恩賜の金時計を2度ゲンノマエした振り袖お紺の話「一本槍の小輔」が良かったとかきました。今回読み返してみて、第4章「白縫花魁」第5章「衣紋坂から」の2編が印象的でした。特に仕立屋一門の「説教寅」が建引きのうえ5000円の追借りに身をやつす白縫花魁を身請けする話は、江戸っ子の器量を見るようで思わず涙が出てきます。ストーリーの展開といい、江戸弁の快さと言い、登場人物の魅力といい、「天切り松」は爽やかな読後感の余韻に浸れました(8/24)

天切り松闇語り

闇の花道

浅田 次郎 著
集英社文庫版

¥514


 深川新兵衛店(だな)に京風の豆腐職人が移り住んでくる。「京や」という名の豆腐屋をはじめた。となりの長屋に住む桶職人の娘はチャキチャキの江戸っ子。やがて二人は惹かれ合い夫婦になる。はじめは江戸っ子の口に合わない京風の豆腐であったが、寺院の精進料理に使われ、紫蘇や辛子を入れた茶碗豆腐を料理屋に納めたりと少しづつ商売が軌道に乗り始める。そして夫婦に子供が授かり榮太郎と名付ける。家族がふえて喜びがふえると思った矢先に実家の父親の死を迎える。それから二人の子供が授かるが夫婦の間には些細なことからひびが生まれる。そのひびはやがて家族の大きなひびとなっ家族をおそう。親子の生と死を通じて家族の絆を描いた直木賞受賞作品。現代の家族の抱える病理を考えさせられる様な作品でした。(8/3)

あかね空

山本 一力 著
文芸春秋

¥1762

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