[福島祭り歳時記 作者のページ 私の本棚 このページは私個人の読後感を書いたもので、けして宣伝ではありません。装丁及び価格等のデータは購入時のものであり、現在は異なることもあります]

私 の 本 棚

10月の読了

20世紀フォックス社 配給

 [番 外] 監督 平野秀幸   原作 桐野夏生 「OUT

 すごい映画でした。コンビニ弁当を作る工場に勤める4人が夫を殺した弥生かばうため、雅子は死体をバラバラに切り刻み生ゴミとして捨ててしまいます。町金融から借金を棒引きにするから話せと迫られ邦子は犯行を話してしまいます。町金の社長十文字は死体をバラバラにする仕事を探してきて、4人と新たな仕事を始めようとしているさなか、殺人犯人と疑われたヤクザ佐竹によって手首を切り落とされてしまいます。佐竹はヨシエに迫ってきます。そして第2第3の殺人が行われます。主人公の原田美枝子が美しくてしかも不気味な魅力を発揮していました。4人の女優の演技が素晴らしく、そしてヤクザ役の間寛平が良かった。怖さの中にブラックユーモアーも感じさせる映画でした。


 二つ並ぶ高層マンション「ツインタワー2025室」でおきた一家4人の殺人事件をめぐり様々な人々と事件の関わりが著者によって明らかにされていく。殺された一家と同姓同名の別な家族が存在するところから、事件の真相が現れてくる。現代の「家族」の病理を探理、家族として存在することを拒否した人々の心理が描かれた、重厚な作品でした。(10/28)

理 由

宮部 みゆき 著

朝日文庫

¥875


 ボーイフレンドと小料理屋を開く夢を追いかけながら「性」を売るみゆきは客の求める様々なプレイを受け止めながらもお金を貯める。ある日好条件の店の出物がでたと聞かされたみゆきは、マネージャーを通して借金をし、金を渡す。アパートに帰ってみるとボ−イフレンドは姿をかくしていた。男と女の愛と性をセンセイショナルに描いた表題作のほかの短編集。SEXの表現がストレートですがちっとも卑わいさはありません。現代の性風俗と若い女性の性と愛の形があちこちにちりばめられています。(10/24)

Piss(ピス)

室井 佑月 著

講談社文庫

¥448


 日本映画「通」で京都大学文学部に入学した薫は、アルバイト先の撮影所で女優の幽霊に出会う。京大の医学生の親友はその女優とと恋に落ちる。京都の町と京都大学を舞台にミステリーラブロマンスが展開されていく。不思議なストーリーが展開していく青春の物語。沙高樓綺譚の「立花新兵衛只今罷越候」の話と良く似ています。(10/9)

活動写真の女

浅田 次郎 著

双葉文庫

¥552


 敗戦後の占領体制下におきた旧国鉄の列車脱線の事件「松川事件」は福島市の郊外松川で発生。当時の日本の労働組合の事情や占領軍GHQの指令によって事件の発生から、逮捕、裁判、有罪判決、高裁での有罪判決、最高裁での差し戻し、一転全員無罪判決などえん罪がどの様になされていったかを、簡潔に著されています。また平事件は常磐炭坑に働く人たちが不当な首切りに抗議して、平の警察署に集まったところを騒擾罪で逮捕され他という事件で、今回初めて知りました。石炭に依存していた戦前の電力事情と、占領政策による炭業界の構造の変化と事件のあらましを、福島大学経済学部教授の著者が時系列的に占領下の三鷹・下山事件などもわかりやすく著しています。福島の戦後の現代史です。(10/1)

松川事件と平事件の謎

伊部 正之 著

歴史春秋社

¥1,200


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