読んだ本買った本

文 月

 戊辰戦争で会津藩は挙藩流罪ともいえる下北半島斗南の地に移されて後、廃藩置県のため藩はなくなってしまう。極寒の地で手足も凍る生活からようやく上京を果たし陸軍幼年学校に通っている時に起きた西南戦争では、「芋(薩摩藩)征伐」に旧会津藩士がはせ参じ、無念を晴らしたことが書かれています。

 和歌山女子刑務所で刑務官として勤務した著者の体験が興味深く著されています。刑務官は「先生」と呼ばれ受刑者は絶対服従。刑務官と受刑者との関わりと、刑務官同士の何処にでもある陰湿な人間関係から来るストレスで倒れてしまう著者の様子が劇的に書かれています。 

お 奨 め

 従来、虎隊は「全員が飯盛山で自刃した」と思われていますが、多くの隊士は戦場で戦ったもの、鶴ヶ城に籠城したもの、生き長らえたものなど全員が自刃したのでは無いことが著されています。戊辰戦争の最大激戦地、会津若松城下の惨劇の様子が詳しく描かれています。

 敦賀半島にある原子力発電所を標的にした北朝鮮の潜水艦が座礁し、警備に当たった警察官と民間人を殺戮するに至り、総理大臣は史上初の自衛隊の治安出動を発令する。陸海空自衛隊による「戦争」が始まった。

 北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」が発射準備に入った。全面戦争に突入する緊張が高まった東アジアの危機を救ったアメリカCIAの謀略とは?

愉 快

 青山署の○暴担当の刑事の慰安旅行とと任侠団体「大曽根組」の若衆の自首の壮行会の宴会が隣り合わせの会場で行われる。プリズンホテルに血の雨が降る。シリーズ第2弾。

 旧会津藩士 浅川類衛門勝茂の「会津日記」に著された会津藩の京都守護職時代から会津戦争、斗南藩流藩そして会津に戻り、教員として身を立て、没するまでの日記を通じ、会津武士の生き様を通し、著者が戊辰戦争を語っています。  浅田次郎の短編集。表題「鉄道員(ぽっぽや)の他数点。秀逸はやっぱり、ぽっぽやか。短いストーリーを重ねていきながら、ストーリーを展開して行く著者の手法のもう一方の短編集です。

今月の1冊

 フィリピンのマラカニア宮殿から奪い取ったマッカサーの秘宝は山下奉文によって日本に運ばれ、終戦の前日武蔵野の山に隠される。秘匿作業にあたったのは勤労動員をされた31名の女子中学生であった。作者の極道小説と対比するもう一つの流れの小説です。